投稿日2019.01.21
講演セミナーseminar
こんにちは。なかい歯科義歯インプラント研究所 歯科衛生士の横谷です。ご挨拶が遅くなりましたが、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。新年を迎えてもう半月以上経ちましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?インフルエンザが猛威をふるっていますので、うがい手洗いが必須の毎日ですね。
さて、新年初めのブログでは患者様に質問されることについて、ご紹介したいと思います。今回は、『キシリトール』についてです。皆さん、キシリトールのガムを咬んだことがありますか?咬んだことがある人の中には、よく言われているむし歯予防を期待している方もいらっしゃるでしょうし、爽快感を求めてという方もいらっしゃるでしょう。
では、キシリトールはむし歯予防になるのか?結論は、いくつかの研究から現在までのところ、キシリトールにむし歯予防効果があるという事実は確かです。しかし、それが他のむし歯を誘発する甘味料によるプラークpH(酸性度)の低下も補正するということまでは確認されていません。まず、むし歯はなぜできるのか?「細菌」,「宿主(歯の質)」,「食物(糖質)」の3つの好ましくない条件が重なり、時間が経過することで発生します。「細菌」「宿主(歯の質)」に関しては、セルフケアではブラッシングとフッ素入り歯磨材の使用で、プロケアでは定期的なメインテナンスで予防していきます。どちらかというと、こちらばかり言われていますが、もう一つの「食物(糖質)」に対してのアプローチも、重要なむし歯予防となります。食物を摂取すると、口の中のむし歯の細菌が食事中の糖質を分解して酸を作り、時間とともに歯を溶かしていきます。通常、食後3分ぐらい経つとプラーク中の酸性度が下がり、その後、40分ぐらいの間に唾液の持つ「酸を薄める作用」,「中和する作用」で元のレベルに戻ります。ですので、唾液が少ない方もむし歯のリスクが高くなります。糖質を常に口の中に入れているということは、酸を作り続け、口の中の酸性度を中和させる間もなく、酸性にし続けるということです。キシリトールを摂取した場合、キシリトールがプラーク中の細菌の酸産生を抑制し、頻回に長時間摂取すると、プラークの代謝に変化が起こり、酸の産生が少なくなるという報告があります。キシリトールの最も特徴的な性質は、むし歯の代表的な細菌(Streptococcus mutans)の数を減らす効果です。これに関しては、キシリトールの量にも関係があると報告されています。ただ、摂取しようとしているガムなどに他の甘味料(ショ糖やブドウ糖)が含まれていることもありますので、注意が必要です。キシリトールにはむし歯予防効果がありますが、糖質の摂取についての習慣もよく見直すことはさらに重要と言えるでしょう。
最後に、歯磨きに関連してもう一つよく聞かれること、『歯磨きは食後30分経過してからがいいのか』についてです。これは、むし歯予防の話というより、「酸蝕症」についての注意です。むし歯菌が作る酸の影響についてではなく、酸蝕症の場合や酸性食品を摂取した直後、歯の表面をこすると弱くなっている部分が削れるということでそのように言われています。まず、その場合はすぐに水でうがいするなど強い酸性度を緩和するようにしましょう。もちろん、その後少ししてからの歯磨きも必要です。
長くなりましたが、年末年始で乱れた食生活でお口の中に変化があるかもしれません。定期的なメインテナンスももちろん大切ですので、少し間があいている方も是非ご予約のうえ、御来院下さい。お待ちしております。寒さ厳しく、空気もかなり乾燥していますので、皆さん体に気をつけてお過ごし下さい。
京都の歯医者 なかい歯科