投稿日2019.05.20
講演セミナーseminar
こんにちは、なかい歯科 義歯インプラントほてつ研究所 歯科衛生士の横谷です。朝晩は気温が低いですが, すでに夏の気配すら感じられるこのごろ, 長いGWも終わりましたが, 皆さんいかがお過ごしでしょうか?
さて, 突然ですが妊婦の皆様, 定期健診など歯科を受診されていますか?
最近, 母子歯科保健の現状とヘルスプロモーションという講義を受講する機会があり, あらためて妊娠期の知識を再認識しました.
何となく, "妊娠中の口腔内の状態は悪くなりやすい"という認識はあると思います. 実際具体的にはどうに悪くなりやすいのでしょうか?疫学調査によると, 妊婦と一般女性と比較すると, 妊婦の方が4mm以上の歯周ポケットを有する者の割合が高いという報告があります. 妊娠中(特に後期)では, ヒト血清に含まれるエストラジオールなどの女性ホルモンの濃度が高くなります. その濃度が高くなることで, 歯肉縁下の細菌の中でも特に妊娠期に多くみられるC.rectusの構成比率も高くなるという報告があります. よって, 結果的に女性ホルモンにより細菌の増殖促進が行われるわけです. そこで, 歯周病に罹患しやすくなります.
また, いくつかの研究で, 歯周病の妊婦はそうでない妊婦と比較し, 早産・低体重児出産となるリスクが高くなると報告されています. 徳島県の妊婦の喫煙関係と4mm以上の歯周ポケットを有する状態との関連性を調査した報告によると, 喫煙習慣と同様に, 歯周病罹患は低体重児出産のリスクファクターとなりうると示唆されています. ところが, 徳島の歯科医院での調査によると妊婦の定期健診の受診率は34.5%と報告されています. また, 同調査で定期健診を受診している人は, していない人と比較して口腔内の気になる症状が少なく, 歯周病や妊娠中の歯科治療についての知識を理解していて, 口腔清掃状態が良好であったとも報告されています.
このように, 妊娠中の身体の変化による口腔内の影響も踏まえると, もっと多くの方が歯科の定期健診を受診されることをお勧めします. 体調不良でなかなか外出がしづらくなるかもしれませんが, 体調が落ち着いている時にでも, ぜひ一度歯科の健診を受診されてみてはいかがでしょうか?気になることがあれば, お問い合わせいただければと思います. ご来院お待ちしております.
5月もあと少し, 新緑がまぶしい爽やかな季節をお楽しみ下さい.